【イノベーター理論】商品やサービスと5つの消費者タイプの関係を示したビジネスフレームワーク

目次

1.イノベーター理論とは?

「イノベーター理論」とは、エヴェリット・ロジャース氏が提唱した「ロジャースの普及理論」とも呼ばれる、イノベーション製品の一般消費者への普及率を示すビジネスフレームワークです。

イノベーションによって生み出された新製品に対する購買行動は、消費者をカテゴライズできるとされており、それらは、「イノベーター」「アーリー・アダプター」「アーリー・マジョリティ」「レイト・マジョリティ」「ラガート」と呼ばれています。

これら5つの消費者タイプが購入を始めるタイミングが製品のトレンド(拡散)であったり、製品ライフサイクルに相関関係があることがわかっています。

これら5つの消費者タイプについて以下に示します。

名称 説明
イノベーター 新しい製品やテクノロジーに対して関心があり、さらにはその知識も豊富である。たとえリスクがあったとしても、一番初めに試したいとう欲求が高いことや、経済的にも比較裕福な層です。
アーリー・アダプター 専門的な知識を持っているが、リスクを冒してまで一番初めに試したいとは考えていない。この新製品がどのように自らの生活を豊かにするかも考慮した購買活動を行うので、イノベーターを比べてテクノロジーに対して俯瞰的な思考も持つ層です。
アーリー・マジョリティ 専門的な知識を持ってはいないが、製品をライフスタイル改善のツールとしてみている。現実的な思考を持っており、自らのライフスタイルに対してどの様なメリットがあるかを考えて製品を購入する層です。
レイト・マジョリティ 自らのライフスタイルを劇的に改善したいとは考えてはいない。しかし、周囲が使用しているため、それに合わせる形で自らも購入することを決める層です。
ラガート 現状から変化に積極的な行動を起こさない層です。特に自らのライフスタイルに大きな改善を求めていないので、新しいテクノロジーに対する興味がない。さらには、コスパに対する意識も強く、完全に費用対効果が望めるものでなければ購入しないタイプです。

そして、「イノベーター」「アーリー・アダプター」「アーリー・マジョリティ」「レイト・マジョリティ」「ラガート」の消費者全体層としての割合は以下の通りです。

イノベーター理論(消費者タイプ比率)

2.イノベーター理論と製品ライフサイクル(PLC)

次いで、イノベーター理論と製品ライフサイクル(Product Life Cycle)との関連性についてです。

製品ライフサイクルを示す製品売上高推移を5つの消費者タイプの割合のグラフに重ね合わせると以下のようになります。

イノベーター理論(消費者タイプ比率)とPLC曲線

新製品が一般的に普及していく成長期は、イノベーターとアーリー・アダプターが購入した後に起こるとことがわかっています。

つまり、消費者の16%が購入した段階で、成長フェーズに移ることから、企業はこの16%に対して購買意欲を掻き立てるような施策を打ち出し、製品を世の中に普及させていく戦略をとります。

特に、アーリー・アダプターと呼ばれる層には、現代でいうインフルエンサーと呼ばれるタイプに当てはまりますので、いかにこのアーリー・アダプターを取り込むかが製品がヒットするかどうかの分かれ目になっています。

そして、このヒットの分かれ目について研究したのが、ジェフリー・ムーア氏であります。

彼は、新しいテクノロジーから生み出される製品について、アーリー・アダプターとアーリー・マジョリティの間に大きな溝があると提唱した。それが、「キャズム(溝)」と呼ばれているものです。

イノベーター理論(消費者タイプ比率)とキャズム

このキャズムを超えなければ、成長期へのトレンド転換が起きずに、もしかしたら製品が導入期で終焉してしまう可能性もあります。なので、企業はこのキャズムを超えるために様々なマーケティン戦略を打ち出します。

先ほど各タイプの特性でも記載したましたが、アーリー・アダプターをとアーリー・マジョリティとでは、製品に対する思想がことなります。テクノロジーに対する知識も関心も高いアーリー・アダプターに対して、アーリー・マジョリティーは新しいテクノロジーというよりもメリットや使い勝手を意識します。なので、16%に対して行ったアプローチとは異なる戦術をアーリー・マジョリティには行う必要があります。

3.イノベーター理論の過去の実例

ここで、新しいテクノロジーが世の中に拡散していく様子をトレンドグラフを用いて確認したいと思います。

やはり、現代のライフスタイルを一変させてたのは、スマートフォンであることを疑う人はいないと思います。

では、そのスマートフォンどのような普及速度を示して世の中に拡散されていたのでしょうか?

下図はスマートフォンの普及率を示したグラフです。

(出典)総務省 通信利用動向調査 一部改変

日本で初めて登場したスマートフォンは、アップルが開発したiPhoneであることはご存じだと思います。

iPhone自体は、2007年に初めてアメリカで販売されて、実際に日本で販売されたのは2008年7月でiPhone 3Gでした。

上図をみると、2008年に販売はされたものの、2010年時点で普及率が約10%で、グラフの傾きからも導入期であることがわかると思います。要するに、まだキャムズをつまり普及率16%を超えることが出来ていないことがわかります。

この時、iPhoneを所持していた方々は、イノベーターやアーリー・アダプターと呼ばれるテクノロジーに対して関心の強い方々であり、また、経済的にも裕福な人たちでした。ガラケーと比べると、高い金額で「携帯電話」を購入することに加えてその通信コストも考えると、普通の消費者であるマジョリティは、中々手を出すことが出来なかったと思います。

その後、2011年にかけて大きく傾きが変わり、普及率が約29%まで伸びていて、16%の溝であるキャムズを超えていることが確認できます。そこから2015年までは成長期であり、現在は成熟期であることがわかると思います。因みに、私は2014年ごろに初めてスマートフォンを購入しました。

この普及のキッカケとなたのは、東日本大震災の影響は大きいのですが、その年を境にスマートフォンは大きく普及率を伸ばしました。因みに、今や日本人の誰でも使っているLINEもこの年にリリースされています。

そして、スマートフォンが一般消費者に受け入れられていく様子がわかるデータをもう1つお示しします。それが下図です。

Goole Trendsの検索動向(スマートフォン vs スマホ)

これは、Google Trendsを用いたスマートフォンとスマホの検索回数を示したグラフです。これを見ると一目瞭然ですが、2011年から2012年にかけて大きくスマートフォンに対する消費者の認知が大きく変わったことが分かると思います。

スマホという言葉は、以前からパソコン雑誌で用いられていましたが、これもイノベーターやアーリー・アダプターの方々が使う言葉から、徐々に一般の消費者にも普及していったことがわかります。このスマホという言葉も、スマートフォンの普及速度向上に一躍買ったと考えられます。

4.イノベーター理論のまとめ

イノベーター理論についてご理解できましたか?

5つの消費者タイプが新製品や新技術の市場浸透に大きく関わり、それが製品ライフサイクルとの関連性が深いことがご理解頂けたと思います。

実際にマーケティングするときも、この5つの消費者タイプを意識する必要がありますし、特にキャムズをどの様に超えるかを考える必要があります。なので、アーリー・アダプターとアーリー・マジョリティとでは、プロモーション方法を変える必要があると考えられます。

また消費者側から見た場合、個人で発信することが出来るツールが多くある現代では、これまでは「アーリー・マジョリティ」であった人が「ビジネス・アーリー・アダプター」=「インフルエンサー」を目指すようになってきています。

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