【SUCCESs】「アイデアのちから(原題:Made to Stick)」プロデュース方法を示したビジネスフレームワーク

目次

1.SUCCESsとは?

いかがでしたか、先ほどのお話は?

勿論、よくある都市伝説をマネた作り話です。

恐らく、似たような話を聞いたことがある方もいると思います。

でも、どうですか、この話、記憶に残りませんか?

そうです。このストーリーの構成が、今回ご紹介するフレームワーク「SUCCESs」の要件を満たしたアイデアなのです。

このストーリーを一文で表現しますと、

「単純明快で、意外性があり、具体的で、信頼性があって感情に訴える物語」

であります。

つまり、SUCCESsとは、Simple(単純明快)、Unexpected(意外性)、Concrete(具体的)、Credible(信頼性)、Emotional(感情的)、Story(物語)の6つの要件を満たすことで魅力的なストーリーへと変えるビジネスフレームワークです。

このアイデアの成功6原則の頭文字をとって、

S・U・C・C・E・S (s)というフレームワークになります。

このフレームワークは、Chip HeathとDon Heathの兄弟が執筆した書籍『アイデアのちから』で示されたフレームワークとなります。

それでは、6つの原則について、もう少し詳細に説明します。

1.Simple(シンプルである)

アイデアはシンプルであること。

複雑なアイデアは、よく考えられていて(敢えて)理解できない部分を含ませることで、一見、良いアイデアである印象を与えます。

しかし、複雑で難解なアイデアは、共感を生むことができず上手くいくことがありません。

それは、サッカーに例えると、

全員がゴールが見えない中、フィールドに立っているようなもですので、何をやっているのか分からないからです。

また、異なるゴールを目指していることもあると思います。

もちろん、単純とシンプルとはニュアンスが異なり、無駄なものをそぎ落とした状態がシンプルです。

その核心を伝えることで、相手に伝わり、記憶にも残るのです。

2.Unexpected(意外性がある)

アイデアには意外性が必要です。

つまり、予想を裏切り、相手に驚きを与えるのです。

驚きは、警戒感と集中力を高める機能があります。

従いまして、興味を引き付け、より記憶に刻むことが可能になります。

厳しい言い方になりますが、誰の記憶にも残らないアイデアは、アイデアとして存在しません。

3.Concrete(具体的である)

アイデアは具体的でなければなりません。

そうでなければ、誰も想像や共感ができないからです。

よく、プレゼンの上手な人が使う言い回しで、「例えば、・・・」、「〇〇に例えると、・・・」のように、具体例を盛り込んで話をする方がいます。

これは、アイデアや理論を具体的に想像させることで、理解や共感を生んでもらうことが目的です。

これは、ことわざにも通じるものがあり、

「転ばぬ先の杖」のように脳裏に映像が出てきますが、通常の会話で「リスクヘッジ」と言われても、その言葉からでは映像は浮かんできません。

もちろん、最近では「リスクヘッジ」という言葉も一般化してきていますので、この言葉を使うことは問題はございません。

4.Credible(信頼性がある)

アイデアにはもちろん信頼性が必要です。

誰が言ったかが重要な場面もありますが、信頼を得ていない個人を信用してもらうには事実としての根拠が重要になります。

裏付けとなるデータなどの定量的な分析結果を示すことは重要です。

しかし、興味深いことに、そのような数値的なデータを示すだけが、いいアイデアになるというわけでもありません。

要するに、これらが必ずしも記憶に残るアイデアに直結するわけではないのです。

あくまでも、受け手が信頼してくれることが重要です。

先ほどお示ししたように、学者や専門家のように権威があればそれが信頼になります。

また、近年では一般人でもインフルエンサーと呼ばれる影響力を持った個人の方もいますが、それはごく少数です。

そこで、受け手の最も近くにいる信頼できる人に評価してもらう必要があります。

それは誰でしょうか?

その答えは、その人自身になります。

その受け手に考えさせて、自分自身で納得してもらうのです。

それが、信頼性の高いアイデアになります。

5.Emotional(エモーショナルである)

アイデアはエモーショナルでなければなりません。

人々の感情に訴えかけるアイデアほど、共感を生み良いアイデアとなります。

人はどの様な時に感情が揺さぶられるかを考えて頂くと容易に想像がつくと思います。

つまり、エモーショナルなアイデアとは、抽象的な情報でも、分析結果が導き出した数値でもありません、目の前の動物や人の"顔"や"名前"が見えたときです。

人は、物事を論理的思考で考えているときには、感情的になりにくい性質を持ちます。

従いまして、良いアイデアとして訴えかける際は、定量的なデータだけを示すのではなく、相手の感情にフォーカスし、より身近に感じることが出来るように努める必要があります。

6.Story(ストーリー性がある)

このストーリー性こそがアイデアの、さらにはビジネスの重要要素であると考えます。

さらには、モノ・コトを他人に伝えるとき、そして自分自身を納得させる際にも活用できる最も実践的な要素です。

そもそも人間は、ストーリーが好きな生き物なのです。

それは、ストーリーには娯楽性があり、人を没頭させます。

このことは、映像や書籍への人々の関心が証明しています。

歴史上の人物が何を成し遂げたのかと同じくらい、その人物がどの様な"ストーリー"を歩んできたのかも重要です。

エジソンが電球を発明したことと同じくらい、学校に行かなかったというエピソードは有名ですし、ベートーヴェンが作りだした楽曲と同じくらい、彼が難聴であったというエピソードも有名です。

従いまして、良いアイデアは、よく開発秘話としてストーリー性を持って紹介されます。

それは、相手にストーリーを通じて、疑似体験・シュミレーションをさせ、共感してもらうことが目的です。

そのような、共感した人は、自らそのアイデアに愛着をもち、そのアイデアのファンになります。

つまり、良いアイデアとして「育てる」にはストーリーが必須であるということです。

2.SUCCESsの活用例

続いて、SUCCESsはどのように活かせばいいのでしょうか?

その活用法を示します。

SUCCESsのチェックリスト

Simple(シンプルである)
・単純明快な言葉で表されているか?
・伝えたいコアとなる言葉は含んでいるか?

Unexpected(意外性がある)
・関心を示す、驚きがあるか?
・興味を持続させる仕掛けがあるか?
・記憶に刻まれるようなものか?

Concrete(具体的である)
・「ことわざ」のように具体的な例えで表現されているか?
・具体的な表現の中に普遍的な本質を含んでいるか?
 ※「ちりも積もればやまとなる」ということわざの中には、小さなことも続けて行けば大きな成果になるという普遍的なメッセージが込められています。例えば、小さい利率でも複利で運用すれば大きな資産になるというようなことでも理解できます。

Credible(信頼性がある)
・エビデンスがちゃんとあるか?
・権威のある先生が思想がはいっているか?
・個人の過去の経験がエビデンスとなるか?
 ※小さいときは、風邪をひかなかったのは、外で太陽を浴びて遊ぶことで、ビタミンDの生成を促していたからなどと、実体験と結び付けることができればより説得力が増します。

Emotional(エモーショナルである)
・感情移入がしやすい指標を示してるか?
 ※地域でも国でも、組織でもない、個人の"顔"や"名前"が見える状態を作りさせているかが重要です。
・アイデンティティに訴えることができているか?

Story(ストーリー性がある)
・ストーリーになっているか?
 ※当記事の冒頭で紹介したお話のようにストーリーとなっており、起承(転)結で表現できることが好ましいです。
・共感できるエピソードとなっているか?
 ※感情移入や疑似体験することが出来るようなストーリーであるかも重要となります。

3.SUCCESsのまとめ

以上が、SUCCESsの説明になります。

アデイアを発想するようなビジネスフレームワークも多く存在しますが、それとは別に、SUCCESsのように優れたアイデアとは何かを判断する基準であったり、又は、優れたアイデアをプロデュースするためのビジネスフレームワークも多く存在します。

つまり、どの様にアイデアをプロデュースするかは、発想すること同じくらい重要だからです。

SUCCESsは、上手くアイデアの構築までできたが、そのアイデアをどうやって社内プロデュースするか又は顧客や消費者から共感を得るようなアイデアにするには何が必要なのかを具体的に示してくれる、実用的なビジフレです。

また、SUCCESsは、2007年に出版された「Made to Stick」で紹介されたフレームワークですので、比較的、新しいフレームワークになります。従って、これから、より活用されていくビジフレになると思います。

最後に、SUCCESsは、もちろん、アイデアをプロデュースするためのメソッドですが、相手の記憶に留めるという観点から、ライティング技術にも活用できるビジフレです。

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