【GROW】コーチングの質問テクニックを示したビジネスフレームワーク

目次

1. GROWとは?

GROWとは、マネージャーが部下や後輩に自発的に考えさせる手順を示したビジネスフレームワークです。主に、業績考課や能力考課などの個人面談の際に活かせるビジフレです。

その手順とは、Goal(目標)、Reality・Resource(現実・資源)、Options(選択肢)、Will(意志)であり、その頭文字からGROWと呼ばれています。そしてGROWは、コーチングの代表的なメソッドになります。

「コーチング」とは、単純に人を教育するスキルではなく、上司と部下という上下の関係としてではなく、あくまで対等な立場で課題と向かいあい、部下の能力を最大限を引き出すようなマネジメントのメソッドになります。

なので、以下に示すように通常の日常業務で行われている指導である「ティーチング」とは区別される手法となります。

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ティーチングとは、魚の釣り方を教える指導のこと

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コーチングとは、魚の釣り方を考えさせる指導のこと

初めに、コーチングについてもう少し詳細にご説明いたします。

1. コーチングの基本スキル

コーチングを行う上でもっとも大切なことは、部下とのコミュニケーションにあります。

普段から、適切なコミュニケーションを図れていない上司は、部下が心を開いてくれず、部下自身がもっている可能性を引き出すためのアプローチが出来ないからです。

従って、マネージャーは普段から、部下とのコミュニケーションを適切にとり、部下が話しやすくする環境づくりに努める必要があります。

そうした前提条件を満たしたうえで、実践するために必要なスキルが以下の4つの「聴くスキル」です。

  1. クローズドクエスションよりもオープンクエスションを多く織り交ぜる
  2. 相づち、うなづきなど、聞いていることが分かる様な所作を入れる
  3. オウム返しをして、聞いていることを相手に伝える
  4. 相手の発言を要約することで理解していることを伝える

クローズドクエスションとは、「はい」や「いいえ」で答えることができる質問で、オープンクエスションとは、それ以外の質問形式なります。

基本的には、クローズドクエスションは答えやすいが話が広がらない、一方、オープンクエスションは直ぐに返答は難しいが話が広がりやすい特徴があります。

2. コーチングの質問コンセプト

コーチングは基本的には、質疑応答で行います。

会話をしている時間は「上司が4で部下が6」若しくは「上司が3で部下が7」と、部下の話している時間が長くなるように上手くコントロールする必要があります。

そのため、「聴くスキル」に加えて質問をするスキルも必要となります。

上司としては、予め部下とのコーチングをシュミレーションし、質問を準備しておくこともコーチングを上手く進めるうえで重要なことです。

そこで、大きくは以下に示すような6つの「質問コンセプト」を基本とし、質問を準備しておくとをお勧めします。勿論、会話の中で生まれた質問が生まれたのであれば、そのような質問は積極的に行う方が面談が充実します。

  1. 初めは答えやすいクローズドクエスションから入り、徐々にオープンクエスションに切替え、本質的な課題抽出をする質問
  2. 部下自身が自分の考えで答えられるような質問
  3. 会話が硬直してきたら、話題や視点を変えた質問
  4. 本人が本当に実現したいことを聞き出す質問
  5. 承認や応援していることが分かるような質問
  6. 質問をさらに掘り下げた質問

2. GROWの進め方

それでは、GROWのGoal(目標)、Reality・Resource(現実・資源)、Options(選択肢)、Will(意志)、各項目の具体的な進め方を以下に示します。

1)Goal <目標の明確化>

目標の明確化は、これから進んでいく目印になる指標であり、この土台をしっかり固めておかなければ、途中で目標を見失う可能性もあるので、丁寧に行う必要があります。

また、目標設定は大きくても構いませんが、そこから実現の可能性がある目標まで落とし込んだ、段階的な目標設定が好ましいです。

つまりは、達成すると高評価となるS級ゴールから、ある程度達成の見込みがあるA級ゴールを設定しておくとをお勧めいたします。

 《質問事例》
 ・この仕事の短期的(半年程度)な目標は何ですか?
 ・この仕事の長期的(3年程度)な目標は何ですか?
 ・この目標を達成することは”あなた”にどの様な影響を与えますか?
 ・目標を達成すると自社に又は顧客に対してどのようなメリットがありますか?
 ・“S級ゴール”は、どの程度達成可能であると考えていますか?
 ・“A級ゴール”は、どの程度達成可能であると考えていますか?
 ・各ゴールに対する達成の可能性は、”なぜ”そのように考えましたか? 

2)Reality <現状把握>

目標達成に必要なことして、現在地を確認することが必要です。現在地と目的地の距離は今後のステップで重要な情報になります。そこで、初めに現在抱えている問題点を聞き出して、部下と一緒に現状確認を行います。

この時、問題点は部下の能力不足によるものなのか、現状の環境やシステムの問題なのかについて理解しておく必要があります。

 《質問事例》
 ・直近のあなたが抱えている問題はなんですか?
 ・それを問題だと考えている理由は何ですか?
 ・それの問題が今後、あなたや会社にあたえる影響は何ですか?
 ・これまでに、その問題に対して、どのような対応をしてきましたか?
 ・今すぐに思いつく対応策は何がありますか?

3)Resource <資源の発見>

目標の達成のために使える、資源、ヒト、モノ、カネ、情報、時間などをリストアップします。

 《質問事例》
 ・部内・社内で誰かに力を借りることはできますか?
 ・社外で誰かに力を借りことはできますか?
 ・会社で保有しているITシステムや設備、過去の報告書などは活用できますか?
 ・社外を活用して、情報収集は可能ですか?
 ・設備・ITシステムへの投資費用はどの程度になりそうですか?
 ・投資費用に充てる資金の獲得手段はどのように考えていますか?
 ・目標達成に必要な時間はどのように考えていますか?
 ・短期間で達成する為の時間(工数)を捻出する方法はありますか?

4)Options <選択肢の創造>

目標達成のための選択肢やスキームなどをできる限り多く提案します。この時に活用できるメソッドとして「ブレインストーミング(ブレスト)」があります。

部下と一緒にブレストを行いますが、マネージャーはサポートしながら進めるようにします。ある程度、選択肢やスキームを出てきたら、その中から最も良い選択肢を選ぶ作業を行います。

 《質問事例》
 ・現時点で考えている方法を教えて頂けますか?
 ・他に考えられる方法はないですか?
  ※マネージャーはサポートしながら、ブレストを行う
 ・この中で最も効果的な方法は何だと思いますか?
 ・なぜ、この方法が他の方法よりも優れていると思いますか?

5)Will <目標達成の意志>

設定した目標に対する意志を固める作業なります。

その目標を達成する為に、何をいつからやるのかを決めて、行動計画書を「ガントチャート」などを用いて、作成してもらいます。

ここで重要なことは、あくまでも部下自身に「やること」、「スケジュール」を決めてもらうことです。

 《質問事項》
 ・実際にアクションをおこすのは、いつからを考えていますか?
 ・アクションの優先順位はそのように考えていますか?
  ※アクションのタイミングや優先順位をベースにした「ガントチャート」の作成を促します
 ・進捗報告のタイミングはどの様に考えていますか?
  ※ガントチャートの中にマイルストーンを設定してもらいます
 ・最初の報告時期タイミングを決めて頂けますか?

3. GROWのまとめ

以上が、GROW並びにコーチングの説明になります。

正直、マネジメント業務に就いてすぐに部下との上手な関わり方ができる人は限られています。しかし、経営層や上司から、上手に人財を活用し成果を生み出すことを要求されていることも事実です。

従って、部下をマネジメントする立場になった際には、適切なコミュニケーションを図り、コーチングスキルを用いて高いパフォーマンスを出してもらえるように努めていく必要があります。

また、コーチングを習得し、理想のリーダーになるためのプログラムも既にサービスとしてございます。

コーチングプログラムサイト

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