1.OARRとは?
OARR(オール)とは、適切な会議運営を行うためのビジネスフレームワークです。
一般的な駄目な会議とは、ダラダラと時間だけを使う会議であったり、会議を開催したのにも関わらず、何も決まらない会議です。
さらに、致命的なことは、この状態を危惧せず、また次回も同じことを行ってしまうことを続けてしまうことです。
OARRは、この課題の解決策するためには、会議に出席する人たちの意識改革であったり、会議の運営方法を明確にするビジネスフレームワークになります。
OARRとは、上記のとおり、Outcome(成果)、Agenda(議題)、Role(役割)、Rule(約束)の4つの項目から構成される言葉で、OARR=オール=櫂かいとなります。
まさしく、会議運営という海原を櫂(OARR)を使って、地図(Rule)に従い、チームの役割(Role)を決めてボートを漕ぎ、途中の宝箱のカギ(Agenda)を回収しながら、宝島(Outcome)を目指すということをイメージ頂ければと思います。
つまり、これらOARRを会議前に決めておくことで、よりスムーズな会議運営ができるようになります。
それでは、OARRの各項目について、ご説明いたします。
1.Outcome(成果)
Outocome(成果)を決める事とは、この会議の目的や目標をしっかり決めておくことです。
基本的に会議は、プロジェクトやその運営方法(新規事業への参入、プロモーション方法、製品の納期や品質、販売カテゴライズなど)について決めることが目的です。
従いまして、何が会議の成果であるかを事前に共通認識として持っておくことが重要です。
そうすれば、会議の途中で道に迷ってしまっても、目的地は決まっているので、適宜、軌道修正を図れば問題ありません。
つまり、目的地を(できれば落としどころも)共有しておくことです。
2.Agenda(議題)
Agenda(議題)を決めるという事は、この会議のOutcome(成果)を得るために、どの様な議題をどの様な順番で進めて行くかを事前に決めておくことです。
この会議の成果を得るために、最終結論として成果を得ることなどの大まかな会議の進行表や手順などを決めておきます。
そうすることで、判断に必要な材料を得ながら、目標に対して向かうことができます。
アジェンダの例を下に示します。
〇〇会議のアジェンダ
1.日時:△△
2.場所:▽▽
3.出席者:▲▲
4.目的:〇〇参入への可否
5.議題
①背景
②今後の市場予測
③競合分析の結果
④参入可否について
つまり、目的地まで方向を正しく示し、進め方のステップを共有しておくことです。
3.Role(役割)
Role(役割)を決めるという事は、この会議の司会(ファシリテーター)や最終結論を判断する人、事前情報を説明する人、議事録を取る人などを事前に決めておくことです。
特に会議の進行は、ファシリテーターの手腕にかかっていると言っても過言ではありません。
会議の出席者の中には、自分の言いたいコトを自分のタイミングで発言するだけで、進行を妨げる人もいます。
そうでなくても、成果によっては、会議にまとまりが無くなってしまうことはよくあります。
そういった時に、軌道修正を実際に行う役目を担うのがファシリテーターです。
よって、ファシリテーターは会議を誘導することで、結論に対して影響を及ぼすことも可能です。
従いまして、出来る限り中立な立場に立つ必要があります。
つまり、会議における役割を分担し、各々がその役目を全することです。
また、ファシリテーターは目的地へと誘導する船長的な役割になります。
4.Rule(約束)
Rule(約束)を決めるという事は、この会議において、開催時刻や禁止事項などの約束事を事前に決めておくことです。
この約束事を予め決めておくことは重要で、特に『制限時間』は最重要項目であると考えています。
会議の開始時刻を決めても、意外と終了時刻までは決めないことがあり、
これは無駄に議論を長引かせてしまう可能性があります。
また、人は制限時間を設けた方が集中力がでます、俗にいう『締め切り効果』です。
与えれた時間が決まっていると、無駄な発言で寄り道している余裕がないので最短距離で目的地へと向かうようなり、生産性の高い会議となります。
その他には、以下の約束事が考えらます。
・出席者は必ず発言をすること
・発言者は挙手し、ファシリテーターが指名するまで発言しないこと
・建設的な意見をいうこと
・批判する際は、対案を出すこと
上記の約束事を取り入れるかどうかは、会議の位置づけや出席者などを鑑みて臨機応変に対応頂ければと思います。
つまり、会議に参加する人は、予め定めた共通ルールに従う必要があるという事です。
2.OARRの主役ファシリテーターに必要な3つのスキル
では、OARRはどのように活かせばいいのでしょうか?
実際に会議開催の前には、OARRを決めてから始めることが実施出来れば特に問題はございません。
また、ほとんどの内容を先の項目で記載したので、活用するうえでこれ以上のことは無いのです。
しかし、既にお気づきの方もいると思いますが、
効率的で効果的な会議を行うためには、ファシリテーターの能力が必須であるということです。
そして、そのファシリテーターとして重要な能力は「代弁力」と「質問力」、「クロージング」です。
基本的には、ファシリテーターは会議の進行に集中する為、自らの発言は行いません。
従って、ファシリテーターは3つのスキルを使って会議をコントロールすることを行います。
ファシリテーターの代弁力とは
ファシリテーターは、会議の中で、今発言している人が何を言いたいかを即座に理解し、直ぐに出席者同士が理解できる状態をつくる必要があります。
発言者の意見を出席者が全員理解していてれば問題はないですが、発言者によっては、上手く自分の考えを伝えることが出来ない方もいます。
この場合、せっかく発言して貰ったのに、相手に理解されないと、次の機会で積極的に発言することはなくなるでしょう。
その時、ファシリテーターが上手く拾ってあげて代弁してあげることが必要です。
例えば下記の会話を会議に取り入れことになります。
「Aさんの発言は、〇〇〇のケースにおいては、△△△という理解で宜しいでしょうか」
ファシリテーターの質問力とは
さらに、出席者が皆、会議の目的は共有していても、発言をしない方や、議論が行き詰まることがあります。
その打開策として、ファシリテーターは発言を促す必要が出てきます。
それは、出席者に質問することで、発言を促し、均衡を破るキッカケを与えることです。
また、敢えて、逆説的な発言をすることで、反対意見から導く方法もあります。
ここで求められる発想法が、アンチプロブレムやリフレーミングになります。
例えば下記の会話を会議に取り入れことになります。
「Aさんは、〇〇〇の件については、どう考えていますか?」
「Bさんの考えとは、逆に、△△△という見方もできるのでは?、このことについてBさんは、どうお考えですか?」
ファシリテーターのクロージングとは
また、せっかく時間を掛けて会議をしても、何も決まっていないことに気づく事があると思います。
それは、まさにクロージングが上手くいっていないことを意味します。
そこで優秀なファシリテーターは、会議終盤にかけて3Wを決めることを意識しながら会議を運営します。
3Wとはwhat, who, whenで、何を誰がいつまでに遂行するかを決める事で、会議のクロージングがハッキリしたものになります。もし、議題が複数ある場合は、各々の議題ごとにクロージングしていきます。
例えば下記の会話を会議に取り入れことになります。
「議題①に関しては、Aさんが来週までに調査をまとめて本会議の出席者と共有をお願いします。」
3.OARRのまとめ
いかがでしたか、OARRは?
この4つのことを決めておくだけで、会議に生産性が向上しますし、この方法を繰り返すことで、組織やチームが「会議慣れ」してきます。
そうすると、今まで会議で失われていた時間をもっと創造的な業務に充てることで、より企業としての生産性が向上するでしょう。
最後に、やはり会議の良し悪しを決めるのは、ファシリテーターだと思います。
従いまして、ファシリテーターのスキルを上げるために、まずは積極的に会議に関わることをお勧めします。
ちょっとしたミーティングでも構いませんので、率先してホワイトボードの前に立つことを実践して頂けたらと思います。
さらに、近年は新型コロナの影響により、会議のオンライン化が急速に進んできており、今までの会議運営とは、異なる能力が求められるようになっています。
以前は、ホワイトバードの前に立って、ファシリテートしていましが、今はパソコンの前です。
そこで、必要なのは画面共有による情報の見える化および共有化です。
最近は、様々なツールが開発されていますが、パワーポイントを共有して、そこに書込みながら、一緒に会議を創っていくことでも十分です。
また、web会議は、基本的に、発言者以外はミュートしているので、静寂のなかで発言することになります。
そこで、少なくとも、ファシリテーターだけはミュートやカメラオフにせず、相づちが相手に聞こえるよう、または見えるように行い、発言者をリズムにのせることも必要です。
また、出席者の少ない会議であれば、各自のタイミングで発言してもらっても問題ないですが、出席者の多い会議では、チャット機能を使って、発言の意志を示してもらい、ファシリテーターが発言を許可するようなルール決めも必要となってきます。