【OODA】VUCA時代にマッチした思考手順を示したビジネスフレームワーク

目次

1.OODAとは

OODA(ウーダ)とは、Observe(観察・観測)、Orient(理解・情勢判断)、Decide(決定・選択)、Act(行動・実行)の頭文字からなるビジネスフレームワークです。

OODAはOODA LOOP(ウーダ ループ)とも呼ばれる思考ループを示したビジフレになります。

このビジネスフレームワークは、アメリカ空軍のジョン・ボイド氏によって提唱されたフレームワークで、もともとは軍事戦略に活かされてきた考え方ですが、それが現代ではビジネスの場でも活用されるようになってきたビジフレになります。

OODAもPDCAと同様に、繰り返し改善を図るビジフレですが、実際のOODAはPDCAとはのような思考サイクルとは少し異なる概念になります。

因みに、PDCAとはPlan(計画)、Do(実行)、Check(検証)、Action(改善)のサイクルを指します。このビジネスフレームワークについては、下記の記事をご参照下さい。

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それでは、OODAについての詳細なご説明になります。

1.Observe(観察・観測)

第1のステップの「観察・観測」とは、ただ「見る」という事ではなく、視覚から得たモノを情報として捉えるということになります。

つまり、戦争(ビジネス)において優勢なのか劣勢なのか、敵(競合)との距離や位置(市場のシェア)、搭乗している機体の性能(会社の規模や資本)などを含めた総合的な情報をまとめたものになります。

2.Orient(理解・情勢判断)

第2のステップの「理解・判断」は、考案者のボイド氏が「ビッグ-O」と述べるほど、OODAループ思考の中で、最も重要視していたステップになります。

具体的には、下記の5項目が互いに影響しあいながら、第1のステップで得られたデータを理解・判断するステップになります。

  • 文化的伝統(Cultural Traditions)
  • 分析・総合(Analyses & Synthesis)
  • 過去の経験(Previous Experiences)
  • 新しい情報(New Information)
  • 遺伝的特性(Genetic Heritage)

人が判断するうえで、これまでに蓄えた知識が影響することは必然であり、これらは「暗黙的な相互作用」として表現されます。

3.Decide(決定・選択)

第3のステップの「決定・選択」とは、先に得られた情報から決定すべき選択肢を見つける工程になります。

Orient(理解・情勢判断)において、多くの情報がこれまでの経験をに基づく5つの項目と相互作用しながら見出されていますので、ほとんどのケースにおいて直観的に判断されます。

4.Act(行動・実行)

第4のステップの「行動・実行」とは、先ほど決めた選択肢に従い、行動に移すことです。

ただシンプルに自分自身で決めたことに従うだけの工程になります。

そして、そこから得られた結果をフィードバックし、改めて観察・観測することで、思考がループすることになります。

 

ここまで説明した内容を統合した形を図式すると以下のようになります。

参照:J.R.Boyd, ”The Essence of Winning and Losing”

基本的な思考順序としては、フィードフォワードの矢印に従います。

つまりは、外部情報及び状況変化というインプット情報に対して、観察(Observe)を行い、次いで情勢判断(Oriet)を行います。その後、意思決定(Decide)を行い行動(Act)へと移ります。

そして、行動を受けて得られて情報をフィードバックすることがLOOPとなります。

上図を見ても分かる通り、ボイドがなぜ情勢判断(Orient)を「ビッグ-O」と表現したかが、理解頂けると思います。

情勢判断は、5つの項目から得られたレスポンスを持って即座に次のステップへと移りますが、暗黙的な思考が働く為、直接、行動(Act)に行ったり、観察(Observe)に戻ったりします。

これが思考スピードが上がる要因だと捉えることができます。

2. PDCA vs OODA について

先にも少し述べましたが、OODAはビジネスフレームワークのメソッドして頻繁にPDCAと比較されます。そして、PDCAは古いフレームワークであり、これからの時代(特にVUCA時代を指す)はOODAがビジネスフレームワークとして適している言われています。

では、実際のところは?というと、わたしの考えは”No”です。

基本的な考え方は、PDCA vs OODAではなく、PDCA and/or OODAと理解して頂いて問題ありません。

このOODAは、PDCAとは活用される分野が全く異なり、両者の使い分けとバランスが大事であるにもかかわらず、どちらかが優れていると決められる傾向にあります。

この2つのビジネスフレームワークは得意とするシチュエーションを以下に示します。

PDCAOODA
主な分野品質管理
研究開発
事業戦略
営業
マーケティング
事業戦略
不確実・曖昧性低い高い
計画変更の頻度少ない多い
計画評価のスパン長い短い
思考カテゴリデジタル思考
演繹法
アナログ思考
帰納法
コミュニティー大きい小さい

上記の表に示した通り、大きくは時間的なスパンと適用分野が異なります。

表の適用分野でもそのステージによっては必ず適合するわけでは無いので大まかに分類するとと理解して頂ければと思います。例えば、研究開発ではシーズ・ニーズ探索段階ではOODAの方が好ましいです。

確かに、品質管理などの分野においては、PDCAサイクルはあくまでも重要なるのは「計画」です。

この計画が間違いなく実施されているかを評価することが主目的です。専門的な用語を用いると、バリデーションを行うことです。

しかし、一連の作業を確認することが多いため、どうしても時間的なスパンが長くなってしまいます。

もちろん、作業途中である程度の評価結果を下すことは可能ですが、一連作業が完結される前に評価することは、全体的な流れを把握するうえでは、あまり好ましくありません。

しかし、この時間的な要件が場合によっては仇になることがあります。

つまり、施策を講じる適切なタイミングを逃してしまう可能性があることです。

従いまして、施策を講じるべきタイミングに合わせて、都度、新たな施策を考案しなければならないときには、PDCAは不向きとなります。

施策を講じるための計画変更書の立案やその資料作成時間、そしてその承認手続きという時間がかかります。

結果的に、そのタイミングを逃してしまい、作業がムダになる可能性があります。

3. OODAのまとめ

以上がOODAの説明になります。

VUCA時代と呼ばれる昨今ですが、OODAが適しているとされるのは、そのスピーディーで流動的思考がマッチしているからだと考えます。

因みにVUCAとは以下の通りです。

  • V:Volality(変動性)
  • U:Uncertainty(不確実性)
  • C:Complexity(複雑性)
  • A:Ambiguity(曖昧性)

何が起こるかを予測することが難しい現代だからこそ、その時々に応じた対応をその場で即断即決をするスキームが求められていることです。

但し、ここでPDCA対OODAという対立構造を描くのではなく、私たちに求められているは、”適考適所”で、この2つのビジネスフレームワークを使いこなすスキルです。

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